他人との比較は自分を苦しめる
つい他人と比べてしまう理由
人は無意識のうちに他人と自分を比べてしまうもの。成績、仕事、収入、家庭環境など、人生のさまざまな場面で「誰かと比べて自分はどうか」を考える習慣がついている。
この傾向は幼少期から培われることが多い。学校では成績表がつけられ、順位が明確に示される。大人になれば、会社の評価制度や昇進の有無、さらにはSNSを通じて他人の生活を目の当たりにする機会が増え、比較する対象がどんどん広がる。
しかし、比較することで満足感を得られることは少なく、むしろ「自分は劣っている」「あの人のほうが恵まれている」と感じることが多い。結果として、不必要な劣等感や焦りを抱え込み、精神的な負担が増してしまう。
比較がもたらす悪影響
他人と比較することで、自分にとって本当に大切なことを見失ってしまうことがある。例えば、仕事で成功している友人と自分を比べ、「自分はまだまだだ」と落ち込んでしまうことがある。しかし、その友人の努力や苦労、あるいは別の面での悩みには気づかず、表面的な部分だけを見て「負けている」と感じてしまう。
また、比較を続けることで自己肯定感が下がり、「もっと頑張らなければ」「これでは不十分だ」と焦る気持ちが強くなる。その結果、ストレスが増え、心身の健康に悪影響を及ぼす可能性もある。
特に、SNSを通じた比較は要注意だ。SNSには、誰かの「成功した瞬間」や「楽しそうな出来事」が多く投稿される。それを見たとき、「自分にはこんな楽しいことがない」と感じ、現実よりも理想を追い求めてしまいがちになる。しかし、SNSに投稿されているのはその人の人生の一部であり、すべてではない。
年齢を重ねるほど比較に意味がなくなる
若い頃は、同年代の人と自分を比較して一喜一憂することが多い。しかし、年齢を重ねるにつれて、人生の歩み方には大きな個人差が出てくる。
例えば、60代になれば、健康状態や生活スタイルは人それぞれ異なる。同じ年齢でも、元気に働いている人もいれば、病気で療養している人もいる。また、経済的に豊かでも孤独を感じている人がいる一方で、質素な暮らしをしながら満ち足りた日々を送っている人もいる。
つまり、人生の価値は単純な「勝ち負け」では測れない。それなのに、他人と比べて「自分はまだ足りない」と思い続けるのは、無意味なことなのだ。
「勝ち負け」を気にしすぎる人の特徴
比較を繰り返してしまう人には、いくつかの共通点がある。
- 成功している人を見ると、妬みを感じる
例えば、高学歴の人を見ると「偉そうにしている」と感じたり、経済的に恵まれている人に対して「きっとズルをしているに違いない」と決めつけたりすることがある。 - 他人の幸せを素直に喜べない
友人が昇進したり、結婚したりすると、「なぜ自分はうまくいかないのか」と落ち込む。 - どんな状況でもネガティブな面に目を向ける
「あの人は友達が多いけれど、実は八方美人なだけだ」など、他人の良い面を素直に認められないことがある。
このような思考が続くと、人間関係もぎくしゃくしやすくなる。自分の中で勝手に競争心を抱き、相手を敵視してしまうことがあるからだ。
比較を手放すための方法
では、どうすれば他人と比べずに、自分らしい人生を楽しめるのか。そのために、次のような考え方を取り入れてみるのが有効だ。
1. 自分の価値観を明確にする
他人の基準ではなく、「自分にとって何が幸せか」を考えることが大切。例えば、「お金をたくさん稼ぐこと」よりも「自由な時間を持つこと」が大事なら、それを基準に人生を設計していく。
2. 「今の自分」に目を向ける
未来の不安や過去の後悔にとらわれず、「今日できたこと」「今持っているもの」に意識を向ける。感謝の気持ちを持つことで、他人との比較を減らすことができる。
3. SNSとの距離をとる
SNSを見る時間を減らし、リアルな人間関係を大切にする。人と直接会って話すと、意外とみんな悩みを抱えていることがわかり、「自分だけが大変」という思い込みがなくなる。
4. 小さな成功を積み重ねる
「誰かに勝つ」ことではなく、「昨日の自分よりも少し成長する」ことを目標にすると、日々の充実感が増す。たとえば、「毎日10分散歩する」「好きな本を1冊読む」など、達成しやすい目標を決めると良い。
5. 他人の幸せを祝福する
「他人の成功は、自分の価値を下げるものではない」と考える。他人の幸せを素直に喜べるようになると、比較のストレスから解放されやすくなる。
自分らしい人生を大切に
他人と比べることをやめると、自分の人生に集中できるようになる。誰かと競争するのではなく、自分自身のペースで生きることができれば、心の余裕も生まれ、日々の充実感が増す。
60代以降は、より自由に、より自分らしく生きることが大切な時期。勝ち負けの概念を手放し、「自分にとっての幸せ」を見つめ直すことで、人生はもっと豊かになる。
無理に他人と比べる必要はない。今ある自分の人生を大切にして、心穏やかに過ごしていこう。